夜は短し歩けよ乙女―春の夜

夜は短し歩けよ乙女

2017／日本／93分

1年にも感じられる長い長い不思議な夜は、それでもたった一夜の出来事。春の夜は先斗町での冒険と人との出会い。夏の夜は古本市で本の海を泳ぎ、秋の夜はお祭り気分に身を任せ、そして迎える冬の夜。鮮やかな色彩と独特かつ愛らしいタッチで描き出される京都の街並みと個性的なキャラクター、そして、あと一歩が踏み出せない先輩と黒髪の乙女の恋の行方が楽しみな映画。

先斗町の「ピニャコラーダ」と「赤玉パンチ」

黒髪の乙女は、お酒に強い。四条木屋町界隈を一人散策する彼女。そこで見つけたバー”月面歩行”で語られる乙女のお酒への愛情表現はとても可愛らしい。最初に注文したピニャコラーダは、私も大好きなカクテル。

そのバーで偶然出会った不思議な二人組に、乙女は先斗町の渡り方を教えてもらう。飛び込んだ宴席で振舞われた赤玉パンチを、乙女はあっという間に平らげてしまう酒豪っぷり！本当にお酒が飲みたくなる映画だし、飲みながら観るのも好きな映画。

 前々から気になっていた缶タイプの赤玉パンチ！

「偽電気ブラン」李白さんと飲み比べ

偽電気ブランについて教えてくれたのが、バー”月面歩行”で声を掛けてきた東堂さん。そんな幻のお酒の話を聞いた乙女は、どうしても偽電気ブランを飲んでみたくなる。そして、不思議な巡り合わせで、偽電気ブランを大量に所有する李白という金貸しと偽電気ブランの飲み比べの対決をすることに！一口飲むたびにパッと花が咲いたかのような偽電気ブランの豊潤な味に乙女は酔いしれる。

浅草、神谷バーのデンキブラン。実は、デンキブランのことを全く知らなかった私。映画に出てくる架空の飲み物だと思っていた（偽電気ブランは架空なのだけど）から、デンキブランという飲み物が実在すると知ったときは本当に衝撃！去年のGWがデンキブラン初体験だった。想像の上の上の上をいく美味しさでびっくり。お酒感はありつつも、すっきりしていて飲みやすい。お客さんがぎゅうぎゅうな雰囲気も大好きだったな～。また行きたい・・・。

＊　＊　＊

人と人、本と本、恋と鯉、そして京都中にばら撒かれた李白風邪は、偶然のようで実は必然にも思えるたくさんの巡り合わせ。どこかの誰かが押したスイッチで私の人生の歯車が動き出したりするなんてことがあるのだと本当に思う。夜は短し、京都の夜を歩きたい。

★Netflixで鑑賞★