万引き家族
万引き家族
2018/日本/120分
高層マンションが立ち並ぶ住宅街に、ポツンと建つ古い平屋の一軒家。祖母の初枝にその息子夫婦の治と信代、そして孫の祥太と信代の妹の亜紀の5人が暮らしていた。主な収入源は初枝の年金で、それ以外の足りない分は万引きをして補う日々。ある日、万引きを終えた治と祥太は、家の近くで一人震える少女を見つける。一度は家に帰そうとするも、火傷の痕が残る少女のことを思い、娘として育てることに。その日暮らしだったが、笑いが絶えない幸せな家族。しかしその裏で、それぞれがそれぞれに秘密を抱えていた。
「コロッケ」と「カップ麺」
治が祥太に教えたコロッケの美味しい食べ方。カップ麺のスープにコロッケを浸しながら食べるのだった。カップ麺は治と祥太の連係プレーで万引きしたものだけど、コロッケは買ったもの。連れてこられた少女・ゆりはコロッケを3つも食べた。
カレーうどんのカップ麺と野菜コロッケ。お肉入りのカップ麺だったから、野菜コロッケにした^^コロッケがスープでふやけてホロホロになって意外と美味しい。サクッと食感はなくなるけど、このふわっと溶ける感じはクセになりそう!
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貧しい中でも楽しさを見つけて、いつも笑いが絶えなくて、一見幸せな家族に見える。もちろん家族全員がそれぞれのことを慕っているし、愛情があるのは確か。だけど、少しずつ少しずつそれだけでは足りないことが浮き彫りになってくる。この生活の限界が見えてくる。血のつながりがないことよりも、大人たちが子供たちを守り切れなていないことに、この関係性の綻びを見た気がする。日本においても、大人が子供を守るということのハードルの高さを感じずにはいられない。そして、愛情の大きさよりも収入の多さが買ってしまう現実がそこにはある。
★AmazonPrimeVideoで鑑賞★
ブルックリン
ブルックリン(Brooklyn)
2016/アイルランド・イギリス・カナダ/112分
アイルランドの小さな町で母と姉と暮らすエイリシュ。能力はあるのに安定した仕事に就けないでいた。姉はエイリシュにニューヨークでの仕事を勧め、エイリシュは慣れない都会での生活を始める。あまりの心細さにアイルランドに帰ることばかり考えていた彼女だったが、イタリア系移民のトニーと出会い明るさを取り戻していった。そんなある日、アイルランドから突然の悲報が届き・・・。
「スパゲッティ」食べ方の特訓
トニーとの出会いでニューヨークの生活にも馴染み始めたエイリシュ。家族に会って欲しいと言われ、トニーの家に呼ばれることに。食べたことのないスパゲッティを上手に食べるために、スプーンとフォークを使って食べ方を密かに練習する。教えてくれたのは、同じ寮に暮らすお姉さんたち。ソースなしのスパゲッティでもエイリシュは苦戦していた。
1950年代にはスパゲッティを”食べたことない”ってことがあったんだなぁ。たしかに初めて食べるってなったら、フォークとスプーンを使って食べるのって難しそう!知らず知らずのうちに私もスパゲッティを食べられるようになっていたのか~。
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トニーが「俺がアイルランドのダンスパーティーに来たのは、アイルランドの子が好きだから」っていう言葉には(なんだと~)と思ったけど、それでも彼の魅力に惹かれていく。エイリシュに対するトニーの想いの深さが徐々に伝わってくる。でもエイリシュは、あまり感情を表に出さないタイプだから、それに不安になっているトニーがまたいじらしく感じられた。
エイリシュが一時帰国したときの感情の揺れが、本作のハイライト。住み慣れた故郷の町、馴染みの友人、そしてエイリシュの帰国を望む一人暮らしの母。安定した仕事にも就けそうで、紳士的な素敵な男性とも出会った。このままアイルランドに身を置くことが、自分の人生にとって最善の選択のように思われる。たった一つ、トニーとの関係を断ち切ることができたら。
好きな人にはない魅力的なものを持っている人が現れたら、特に自分の理想に近い人だったら。途端に好きな人の不十分なところが目立ち、その人への想いが色褪せてしまったりする。比較して損得勘定で考えたり、好きな人からの想いすら重荷に感じて、自分の本当の気持ちもわからなくなってしまう。でも、好きな人を失ったときに失うものを想像すると?足りないところ以上に、その人を好きになった理由に目が行くはず。そんなことを言い聞かせるように考えながら、映画のポスターになったあのシーンでは、とっても嬉しくってウルッときた。
★Huluで鑑賞★
マイ・インターン
マイ・インターン(The Intern)
2015/アメリカ/121分
ファッション通販サイトを運営する会社の福祉事業の一環で、シニアインターンとして採用されることになった70歳のベン。毎日出かけられる場所ができ、生きがいを感じながら働いていた。一方で、若きCEOのジュールズは、40歳も年上のアシスタントにイラつくことも。しかし、ベンの真面目な働きぶり、機転の良さに少しずつ感心していく。そして、仕事とプライベート両方で困難に直面したジュールズは、ベンの助言を頼りにするまでに心を通わせていた。
残業のおすそ分け「ピザ」
残業するジュールズ。そこから少し離れた席でひっそりと残業するベン。ジュールズは「1人の食事は嫌い」と、ピザとビールを持ってベンに声を掛ける。仕事の話をしたり、ベンの前職の話を聞いたり、ジュールズがベンのFacebookの登録を手伝ってあげたり。「大人の男性と大人の会話は久しぶり」と、気分転換できたジュールズの言葉が印象的。
残業しながらデスクでピザっていうのも、ビールが瓶なのもカッコイイ!アメリカだからなのか、ジュールズがCEOだからなのか、どっちなんだろう。このビールも気になって調べてみたけど、ステラ・アルトワというベルギービールらしい(写真はハイネケン)。飲んでみたかったけど、見つけられず・・・。だけど久々に飲んだハイネケンもすごく美味しかった^^
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ジュールズの会社の人はみんな仕事に前向きで眩しくも感じてしまう。でも、”毎日通う場所ができる”ことにワクワクするベンを見て、この何気ない日常にも愛おしさを感じた。つい、身の回りの膨大な情報に、周囲の様々な目に惑わされるけど、まじめであることと、相手を思いやることを忘れてはいけないな。ベンの温かさにそんなことを再認識。
★Netflixで鑑賞★
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch Me If You Can)
2002/アメリカ/141分
父親の事業が失敗したことをきっかけに、裕福な暮らしが一変、それまでの幸せだった家族の生活が崩れ始める。フランク・アバグネイルは16歳で家を飛び出し、あの手この手を使って生活していた。巧みな言い回しに甘いマスクで法を犯していくアバグネイル。何と21歳になるまでの間に約400万ドルをも稼ぐ天才詐欺師となっていた。しかし、 FBIの捜査の手も次第に及ぶようになって・・・。
16歳の誕生日、自分で焼いた「ホットケーキ」
父親が家に帰って来ると一人ホットケーキを焼く息子の姿が。「息子の16歳の誕生日の夕食がホットケーキだと?」と言う父に、“覚えてたのか”という顔をするフランク。
字幕では「ホットケーキ」となっていたけど、英語ではpancakesと言っていた。英語のことはわからないけど、日本ではパンケーキとホットケーキってけっこう印象が違う。字幕がついた頃はパンケーキがそんなに知られるところではなかったと思うけど、ホットケーキっていうフレーズがすごく好き。
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何が一番すごいって、この映画が実話に基づいているということ。巧みな話術と甘いマスクでたくさんの人を欺いていくアバグネイル。この大胆さには本当に驚かされる。大金を手に入れ、高価な服に身を包み、パーティーを開き・・・贅沢三昧なのだけど彼自身が心の内に抱える誰にも真実を打ち明けられない寂しさや追われ続ける生活への葛藤なんかが見えてくると早く捕まってとはならない。冒頭に逮捕されるシーンがあるものだから、アバグネイルの逃避行に終わりが来るのはわかっていたけど、さらにその先にあるドラマが素晴らしい。実話だったからこそ、なおさら温かい気持ちになる。ディカプリオが良いのはもちろん、 FBIのトムハンクスが最高すぎる・・・。
★AmazonPrimeVideoで鑑賞★
オリエント急行殺人事件
オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)
2017/アメリカ/114分
エルサレムで起きた事件を鮮やかに解決した名探偵のエルキュール・ポアロ。イスタンブールで彼の休暇が始まるはずだった。しかし、急遽舞い込んできたイギリスでの事件を解決するためにポアロは豪華寝台列車オリエント急行に乗車することに。乗客の一人、アメリカ人の富豪ラチェットは、誰かにその身を狙われていると言い、ポアロに警護の依頼をする。しかし、ポアロはその依頼をあっさりと断り、翌日ラチェットは死体となって発見された。乗客の中に潜む殺人犯の正体とは・・・?
ポアロ絶賛の「ラマザンピデ」
イスタンブールのとある厨房で焼きたてのラマザンピデを前に、「世界が破滅へ進もうともここではすばらしいパンが日々焼かれている」と絶賛するポアロ。そこで偶然、古い友人で国際寝台車会社の重役ブークと出会う。ブークはポアロのことを「宝石泥棒より美味な菓子を見つけたがる人だ」と言い、二人は抱擁した。
発酵させたパン生地を平たく円形に伸ばして、指で格子状に跡をつけて、さらにナイフの反対側でキレイに整えた^^溶いた卵と黒ゴマ、白ごまを散らして焼くと意外と網目模様がしっかり残っていて可愛い。
トルコでラマザンの期間だけに焼かれるというラマザンピデ。モチモチしていて美味しい。
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まず映像が美しい。エルサレムからイスタンブールに向かうときの景色にうっとり。ただ、根幹となる殺人方法の部分がバシッと理解できなかったのが悔しい!いつものことだけど、展開に頭が追いつかない。登場人物は多いけど、2015年に放送された日本版のオリエント急行殺人事件を見ていたから、ある程度は把握できたのだけど・・・。日本版は二夜に渡って放送されたから、詳しかったような気がする。もう一度観返して、どちらも理解したい。
★Huluで鑑賞★
韓国映画
韓国映画を5作紹介しました!
①ステーキ?それとも・・・「お寿司」?/ビューティー・インサイド
②サービスのおにぎりと「ククス」/タクシー運転手~約束は海を越えて~
③韓牛と「チャパグリ」/パラサイト 半地下の家族
④手がかりは「トッポッキ」!?/ミッドナイト・ランナー
⑤「辛いスープ(メウンタン)」みたいな人生?/建築学概論
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韓国料理が好きだから、映画とかドラマを見たらもれなく食べたくなる!しかも、定番の韓国料理と言うよりは、映画を観ないとなかなか食べないようなものを知れるのも嬉しい。ビューティー・インサイドはお寿司が出てきたけど、海外の映画に日本食が出てくると無性に親近感が湧くみたい^^私の勝手なイメージだけど、邦画ならデートでお寿司って言ったら、パック寿司でも回転寿司でもなくて回らないお寿司屋さんが登場しそう。だけどビューティー・インサイドでは、木箱に入ったオシャレなお寿司を持ち帰って、それをオシャレな空間で食べていて、すごく良かった!!
建築学概論②
建築学概論(건축학개론)
2012/韓国/117分
15年ぶりにスンミンを訪ねたソヨン。彼女は、建築家となったスンミンに、実家のある済州島に家を建てて欲しいと依頼しに来たのだった。そのことをきっかけに、大学時代の記憶が蘇るスンミン。ソヨンは彼にとって初恋の相手だった。しかし、今のスンミンには婚約者がいて・・・。
1111誕生日に「わかめスープ」を
韓国では、誕生日にわかめスープを食べる習慣がある。済州島で一人誕生日を迎えようとしていたソヨンに、わかめスープを食べに行こうかと誘うスンミン。大学生の時にソヨンが教えた「11月11日」を今でも覚えてくれていた。
済州島名物のソンゲミヨックッ。わかめスープに何とウニが入っている。日本人だから、ついウニはお寿司がいいなぁと思ってしまうけど、本場のウニわかめスープも美味しいらしい^^
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建築学概論の授業がとても面白そうで、私も講義を受けてみたくなった。線路の上を歩くソヨンとスンミンがかわいい。大学生の時はお互い純粋で、だからこそ傷つきやすいし、思いが伝わりにくくて、大人になってからは、いろいろなことを知ったからこそ、世間の目が気になって身動きが取れなくなるんだろう。これまでにした選択で今の自分があるのは確かだけど、これからする選択で自分の置かれている状況も変えられると信じたい。